2007-10-31 ; 雑記
★前回までのあらすじ
至高のドーティ職人アントレセンは、ファッション大会に出展するために、弟子のサイコに金を仕入れにいかせました。その金を交易所の店主に預けていたのですが、これが悪徳商人たかはにの恫喝によって白金と交換させられてしまいます。
反対するアントレセンをよそに、サイコたちは見事たかはにから金を奪い返し、カリカットに帰還しました。
★あらすじここまで
紆余曲折があったが、無事金が手に入ったアントレセンは、技術のすべてと、弟子に対する責務、自らのドーティへの愛・・全てをぶつけ金色のドーティを完成させます。
そして、いよいよ大会当日・・・・。
目だった作品がない中、ひときわ目を引く作品がついに出展される。その作品は、白金に見事な意匠を凝らした全身鎧だった。この鎧の意匠は古来からの美術品のような気品が感じられる。それもそのはず、この鎧は、ルネッサンスの故郷フィレンツェ、ヴェネチア、ローマ、ジェノバといった都市よりかき集められた彫刻家たちが彫り上げた意匠だったのだ。
さて、白金と聞いてある人物が浮かび挙がらないだろうか?
そう、たかはに。
彼は金を奪い取られた後、アントレセンがこのファッション大会に出場すると聞きつけるや、金に糸目をつけずこの鎧を作りあげたのだ。さらにモデルにまでこだわり、この鎧を着ているのはヨーロッパに知れ渡る鎧好きディルスが務めている。
会場に白金の鎧が出てくると、場内はどよめきと歓声に包まれ、観衆はこの鎧を褒め称える。審査委員長ハミルも、珍しく眉を動かし、つぶさに鎧に見入っている。
それほどこの鎧の出来はすばらしいものだったのだ。
いくつかさらに作品が出展された後、いよいよアントレセンの出番がやってくる。
黄金色に輝く見事なドーティ。細部にまで拘った意匠に加え、何より見えない部分への気遣いが徹底されている。その着心地は一般のドーティと比べようもない。まさに至高のドーティといって過言ではないできばえだった。
場内からは、白金の鎧と同じくらいの歓声とどよめきが沸き起こる。それに、アントレセンは確かな手ごたえを感じ、サイコは顔をほころばせた。
そうこうしているうちに、いよいよ結果発表の時間となる。
厳粛で荘厳な面持ちで審査委員長のハミルは、優勝作品の発表を行う・・・・・・。
「優勝作品は・・・・・・・・
エントリーナンバー115番
アントレセン
作品は金色のドーティです。」
その瞬間場内からはしかつのをたたえる拍手と喝采に包まれる。ただ一人納得いかない様子のたかはには、審査委員長に抗議する。
「なぜ、白金の鎧がドーティなんぞに劣るのですか?!!」
ハミルはたかはにを一瞥し、口を開く。
「確かに白金の鎧は素晴らしいできばえで、芸術作品としてみるなら白金の鎧のほうが上だろう。」
「では、なぜ・・・」
「それは、着る者への愛。作品への愛。情熱。それが白金の鎧からは感じられないのだよ。技術だけを並び立てた白金の鎧からは息吹が感じられない。着る者あってこその衣装。その基本が欠けているのだ。」
「そんな・・・・」がっくりと膝をつくたかはに。
「やりましたね!アントレセンさん!」
サイコは満面の笑顔でしかつのを褒め称える。彼は恥ずかしさから無表情を貫くが、内心はそうではないよう・・・。
こうして、アントレセンはファッション大会で優勝し、カリカットに帰国することになる。アントレセンのドーティに感動した鎧界の重鎮ディルスは、是非彼の工房が見たいと言ってきかず、アントレセンに付き添いカリカットへ行くことになった。
これが、不幸のはじまりとは知らずに・・・・・。
そして帰路・・・・・・・。
「アントレセンさん!また嵐です!!!」
もう何度目の嵐だろう・・うんざりした表情でサイコはそうアントレセンに報告する。
そう、彼らは知らなかったのだ!
ディルスと共に航海する恐怖を・・・・・・・。
ディルスは嵐を呼び寄せると船乗りには恐れられている。船員がそれを港で口にしたときは、ただの迷信だろうと一笑にふしていたアントレセンらも、立て続けに嵐がきては信じざるを得ない・・・・。
そして・・・・・・・・・・
あまりの日数を航海したため・・・・・・
金色のドーティは壊れてしまいました!
ドーティ職人物語 おしまい
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安心は慢心です。注意しましょう。