鉄の皇帝バシレイオス物語 その10::人物列伝
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鉄の皇帝バシレイオス物語 その10

2007-08-07 ; 人物列伝

国家の衰退とは、外敵によってもたらされるものではない。内部崩壊こそ国家の衰退である。
【ミルミル・ハミール著「歴史考察」より】



シカツーノは頭をたれ、皇帝にかしずくと、静かにことの顛末を語り始める。
「バシレイオス様。我が父シカカークはバルダスにつくようです。バルダスに合流するのが二ヵ月後。その時こそ叛乱軍は一気に攻勢に出るでしょう。父の帰順を見たほかの諸侯たちも叛乱軍に味方するものもでるでしょう。」
「そうか・・」とバシレイオスは一言だけ。彼はシカツーノの気持ちが痛いほどわかった。しかしなぜシカカークはバルカスに味方するのだ。その答えをシカツーノはすぐに語りはじめる。
「陛下。ロクツーノ家は弱小貴族です。功をなしてこそ存続できる家紋です。私と父が同じく組するわけにはいかないのです。」心にもないことを・・。とバシレイオスはシカツーノを見やると、彼の肩、手が震えている。何かを必死で耐えるかのように・・・。
それを見たバシレイオスはシカツーノとシカカークが考えていることがわかった気がした。おそらく、シカカークは自ら先頭に立ち、全ての叛乱分子とともに滅びたいのだ。
私とシカツーノのために・・・。大貴族どもが大商人どもが私になにをしてくれたのだろう・・。精錬で愚直なこの親子ほど国家にとって必要な人材はいようか・・。
「シカツーノ。もう何も言うな。今は戦いの準備をしろ。」
「・・・・・・承知しました。」

そして、シカツーノを中心に今回の戦争の準備が行われることになる。すでに皇帝が即位してから10年近くたっているがいまだに内乱は終わらない。そうしてる間にもブルガリアはバルカンの支配を広めている。だからこそ、バルカスと一騎打ちをすること意味はある。どちらが滅ぶにせよ国は安定するだろう・・・。
バシレイオスの命の下奔走したシカツーノであったが、思うように兵は集まらない。まず、対イスラムの最前線で防備に当たっているルヴァ将軍はどちらにも味方しないと明言。これはどちらが勝ってもルヴァ将軍は損をすることになるが、彼がいるからこそイスラム勢力の伸長が遮断されていることもたしか。その点では、バシレイオスも一定の評価はしているようだ。彼あってこそ、内乱も乗り切れる面もあるのだから・・。
一方のバルカス軍は、アンドレセンの豊富な資金源によって傭兵をかき集めている。どちらにつくか揺れている諸侯らも、アンドレセンの金とシカカークの顔によってバルカスに帰順する者も出てきていた。
バルカスの傭兵集めは、悪名高い狂人傭兵団にも及んでいる。
彼らは、あまりにも残虐なうえ、麻薬の常習者が多く含まれているために畏怖されているが、本当にちゃんと働くのかが甚だ信頼できないため敬遠する者が多い。ただ、腕はたしかでこと一対一の戦いにおいては無敵の強さを誇っている。また、返り血を浴びることを生きがいとし、彼らの鎧はどす黒く染まっているのが実力の証だ。その傭兵団の頭領こそアーカントスだったのだ。アーカントスは貧民街出身なだけに金にすぐなびく人物だったが、今回はなぜかアンドレセンの誘いを断る。
その誘いから数日後、シカツーノがアーカントスの元を訪れる・・。

シカツーノは薄汚い小屋に入ると、異臭ただよう部屋の一番奥に通される。ここがアーカントスの部屋。部屋には悪趣味な頭骨が壁に打ち付けられ、血で染まりきった鎧が立てかけてある。そこに座し、ビールを片手にアーカントスは友人を迎え入れた。
「よお。」と酩酊ぎみのアーカントス。
「しばらくだな。アーカントス。あいかわらず悪趣味な部屋だ・・。」
「俺の強さの証だぜ。この血に染まった鎧は。」
「今日はお前に頼みごとがあるんだ・・。」
「言わなくてもわかってるぜ。バルカスとやるんだろ。」
「いや、静観することを頼みにきた。今回の戦い俺たちについても死ぬだけだ・・・・」ぐっと歯をかみ締めるシカツーノ。
「お前。俺たちが死を恐れてるとでも言いたいのか!ハッシッシと人を斬る快楽。それこそが俺たちが生きている証だ!切れる奴らがいればいるほどいいに決まってるじゃないか!」
そういってアーカントスは強引にシカツーノの部隊への参加を決めてしまったのだった。
シカツーノにしてみれば、幸運な話ではあったがわざわざ友人を死なせるのも忍びない・・、後ろ髪ひかれる思いだったがそうこう言う状況でもないので、アーカントスを受け入れることにしたのだった。

その日の夜、宮廷に戻ったシカツーノは、父より託されたルヴァ将軍の手紙を開封する。
そこに書かれていたこととは・・・・。

続く。
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