鉄の皇帝 バシレイオス物語 その3::人物列伝
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鉄の皇帝 バシレイオス物語 その3

2007-07-08 ; 人物列伝

きらびやかなご夫人たちこそ、歴史を動かすのだ。いつの世も男は見栄をはるものである。
【ミルミル・ハミール著「自省録」より】



ロマノス二世の葬儀の次の日のことであった。泣きじゃくるアンナの手を引きながらバシレイオスは、彼にとっての秘密の隠れ家に向っていた・・・。
そこは、見慣れた小さな厩舎で、いつものようにシカツーノが馬の世話をしている。
彼は、バシレイオスが目に入るとかしずき、一礼する。
バシレイオスは、身分のあまり高くないこの四つ上の少年といると心が休まった。王宮の中は、しきたりばかりで、子供の影はない。
そんな中、バシレイオスが気軽に会うことができる唯一の存在がシカツーノというわけだ。
シカツーノは、バシレイオスとアンナにどう声をかけていいかまごまごしていると、おもむろにバシレイオスは口を開く。
「シカツーノ。お前の父上に言っておいてくれ。私は強くなりたい。アンナやコンスタンティヌスを守らねばならぬ。」
昨日まであれほど稽古を嫌っていた少年の言葉とは思えない。
虚を疲れたシカツーノは、首をただ縦に振るだけだった。そしておもむろに木の枝を拾い、バシレイオスにかしづく。
「バシレイオス様。私はこの剣に誓って、あなた様を守護いたします。世界の全てがあなたの敵にまわったとしても、このシカツーノは最期まであなた様の側に控えてもよろしいでしょうか?」
「シカツーノ。言葉は素直に嬉しいが・・・。その木の枝は・・」
「ま、まだ剣を持たせてもらえないんです!」
その声が終わらないうちに、バシレイオスは大きな声で笑う。アンナも顔をそらし必死に笑いをこらえているようであった。
「でも、シカツーノさんのおかげで少し元気がでました。」とアンナ。
数十年後に、この三人がビザンツの存亡に大きくかかわってくることはまだ誰もしらない。

そして時は進む。
カッパドキア出身の比類なき軍事的才能を持つフォカス帝は、自身の軍事的才能をいかんなく発揮する。まず、決して強いとは言えなかったローマ重装騎兵軍団の再教育を推し進め、当時最も精強であったイスラム軍と渡り合えるほどに鍛え上げた。
そして、旧西ローマ帝国領内のどの国が戦っても歯が立たなかったイスラム勢力に対して攻勢に出るのだった。(このころのイスラム勢力は大きく分けて3つの勢力がある。まずイベリアに陣取った後ウマイヤ朝。北アフリカを中心としたシーア派のファーティマ朝。そして、キリスト教の教皇のような世俗的な勢力を失ってしまい、カリフとして宗教的な象徴となっていたアッバーズ朝の三つの勢力があった。アッバーズ朝はすでにカリフのみがいる状態で、国家として成り立ってはいない。この勢力圏は、ブワイフ朝・カズナ朝などの国家が分立していた。最終的に協力な統一国家であったセルジューク朝にこの周辺は全部征服されることになる。<トゥグリル・ベクですね。クエでもあります。>)
輝ける才能に味方されたビザンツ軍の勢いはすさまじく、最終的にアンティオキアまで奪還することに成功する。これは、ビザンツがアンティオキアを失ってから三世紀もすぎてからの奪還であった。


次回へ・。
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Comment

めけ : 2007年07月08日(日) 01:07 URL edit
シカツノに死亡フラグきました。
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